どうもありあけです。
今回はジャンプ+の読み切り作品『妹の姉』(著:藤本タツキ)についてまとめてみました。
『妹の姉』は週刊少年ジャンプで連載中『チェンソーマン』第2巻発売を機に、「ジャンプ+」無料公開されました。
2022年8月14日現在、無料公開は終わり「藤本タツキ短編集22ー26」で購読できます。
藤本タツキ先生は『チェンソーマン』と『ファイアパンチ』が有名ですが、『妹の姉』では姉妹愛を描いたヒューマンドラマで読後感も爽快です。
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『妹の姉』ってどんな漫画?
美術高校に通う光子は、自分の裸を描かれた作品がコンクールで金賞を獲り、学校の玄関前に飾られることに…。
絵を描いたのは、妹の杏子だった。姉は妹に復讐を企むのだが…。
アプリケーション「ジャンプ+」
おすすめポイント
おすすめポイントは杏子と光子の心理考察にあります。
姉妹愛の物語なので心情考察すればするほどたのしいです。
杏子が光子の裸を描いた理由
光子が自分の裸を描いた理由
次に杏子はどんな光子を描くだろうか
おすすめポイント①杏子が光子の裸を描いた理由
おすすめポイント①杏子が光子の裸を描いた理由、です。
姉の裸を実際より魅力的・扇情的に描いている、ということから杏子からが光子をどう思っているのかがわかります。
杏子と光子は入学してから不仲でしたが、杏子の尊敬は光子にあり、光子はすばらしい姉なのだという強い気持ちがあるのでしょう。
他の授業はやる気がなくても、自分の姉を描くときは時間をかけて描いたこと、
復讐を公言し自分の裸を描きに部屋に乗り込んできた光子に戸惑いつつも、会話をよろこぶ姿からも光子への強い好意が伺えます。
しかし公開される前提の学校の作品で姉の裸を描くというのは少し過剰な気もします。
杏子は姉への尊敬の念が強すぎて周りが見えなくなるタイプなのだとわかります。
おすすめポイント②光子が自分の裸を描いた理由
おすすめポイント②光子は自分の裸を描いた理由、です。
理由を2つ考えました。この物語のキモであり一番面白いところです。
妹に等身大の自分を見せるため
1つ目は、等身大の自分を杏子に見せるためです。
杏子は光子に憧れすごく評価しています。
しかし過度な憧れで描かれた光子は現実以上に描かれていました。スタイルも表情も魅力的です。
光子は杏子に「わたしは完璧な存在ではない。盲信的に美化してはいけない。」と伝えたかったのではないでしょうか。
杏子が書いたようなスタイルが良くて乳首が綺麗で切なげな表情をする光子ではなく、
胸が小さくスタイルも良くない、イスに座ってガニ股で見返してくる自分をあえて描いたのだと思います。
そんな気持ちが「次は私もっとよく見て書きなさい」というセリフに現れているのかもしれません。
憧れそれ自身はうれしいのですが、期待が過剰になると苦しくなるものですよね。
しかし、わざわざ自分の裸を描いたという返しは光子らしくて藤本タツキ節も炸裂です。
扇情的な裸を描いた妹に対して正反対の強気な絵を描いて金賞獲得でお返しとは、すばらしい復讐でした。
自分自身を見つめなおすため
2つ目は、自分自身を見つめ直すためです。
光子にとって杏子は自分の背中を追いかけ、いつも自分より劣る心地のいい存在でした。
しかし絵の才能に関しては、自分を追い抜いていき、その悔しさから光子は杏子との接し方がわからなくなっていました。
そんな状況で全裸が飾られたので、当初は裸を飾られ復讐心でいっぱいでしたが、
杏子が姉の姿を「目標」という題材で描いたことを知って考えが変わったのです。
妹がそこまで憧れてくれる自分は一体どんなものなのか
妹と距離ができた現状について自分を見つめなおす時間になりました。
光子は自分を見つめ直すために自分を描いたのだと思います。自分は自信をよく見ないと描けないので。
いつも下に見ていたはずの妹が自分以上に認められ妬ましくもあるけど、ずっと憧れてくれる「妹の姉」になりたい。
憧れに恥じない強い姉でありたいという気持ちを表明したかったのではないかと思います。
おすすめポイント③次に杏子はどんな姉を描くだろうか
3つ目は、もし次の機会に杏子が光子の絵を描くとしたら、どんな絵を描くだろうか。
次は等身大ながらかっこいい姉を描きそうな気がする。
嫌にスタイルが良くなくても胸が大きくなくても、尊敬した男前の姉の姿を描く気がする。全裸かどうかは別として。
物語の最後で、やはり姉のことが大好きでついてきちゃうあたり、
姉への憧れの強さは健在で、少しは現実的に修正されつつも相変わらず姉を少し美化した姉を書くと思います。
まとめ
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端的に言えばこの作品は最高です。
起承転結しっかりしていて物語の最後には、姉らしい「復讐」を達成した。
語弊あるかもしれないが最高に男前だった。
タイトルの「妹の姉」というのも、いろんな意味として読むことができたので深みもある物語でした。
今日はこの辺で、またね。